【書評】「マネーロンダリング」橘 玲

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橘玲氏にとって処女作となる小説で2002年の発行となる。
氏の著作らしく、ところどころに金融の豆知識が放り込まれてくるのが特徴。
彼の「小説」を読むのはこれが初めてだったのですが、小説家としても中々に才能があるようで普通に面白かったです。それなりに長いですが一気に読んじゃいました。プロットは非常に良くできています、が、ネタバレになっちゃいますが、読後感はあんまり良くなかったかな。

第一章 夏、香港
第二章 秋、東京
第三章 ハッピークリスマス
の三章立ての構成。

舞台は香港から始まる。この本の出版が2002年なので、作中はドットコムバブル崩壊直後の話である。主人公である香港在住のファイナンシャルアドバイザー「工藤秋生」は香港などの海外の銀行に口座開設をして自己資産を海外に移したりするなど、税務署や債権者から逃れようとする人の手助けをしている。ファイナンシャルアドバイザーになるきっかけを作った「マコト」から紹介された「若林麗子」に出会ったことで秋生は壮大な事件に巻き込まれていく。

麗子の依頼は、婚約者の手伝いで海外法人を作って五億円の利益を海外にプールしたいというものであった。そう、マネーロンダリングの手伝いである。

どこか人生に空虚さを感じている主人公と男性を虜にする麗子、そして絡み合っていく人間関係、あっと驚くネタバレの数々、飽きるどころか加速するように話は進んでいきます。
マネーロンダリングのスキームなど筆者ならではのウンチクが長いので、筆者の経歴をよく知らない人にとっては物語をぶった切られているようで邪魔かもしれない。が、それも筆者のファンなら楽しみの一つ、まったく問題ないでしょう。
ただ、本書を書かれた時点でのグレーゾーンの情報のほとんどは残念ながら?現在では法整備が進み対策がなされており、陳腐化しています。今は使えないので、そういう情報的なものを期待している人には役立たない本でしょうね。情報技術の発達も当時とは比べものにならないので、昔はそうだったんだな、といった感じになると思います。それでもストーリーは今読んでも十分に面白いので、とりあえず読むべし。

以下に私の備忘録用に多少のストーリーのネタバレを書いてます(結末を除くメインストーリーのみ)。





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