メルカリの振込期限が3ヶ月(6ヶ月)になった理由は資金決済法

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こんにちは、ぐだおです。
今日はメルカリの振込期限が3ヶ月になったということが少し前に話題になっていたのでそれについて書いていきます。
メルカリといえば言わずと知れたフリーマーケットアプリの雄ですね。いわゆる個人同士の売買を利用したCtoCと呼ばれるビジネスのプラットフォームを提供しています。ちなみに、メルカリの名前は『マーケット』という言葉の起源でもあるラテン語の「mercari=商いする」に由来するみたいです。

メルカリの振込期限の短縮の基本情報

メルカリの振込期限について

振込期限“とだけいうとピンとこないかもしれませんので、もう少し丁寧に説明します。
メルカリでは個人に売上金が発生するわけですが、この売り上げをすぐに個人の口座に振り込んでもらう必要はなく、ある一定期間メルカリに置いておくことが可能でした。この売上金をそのままメルカリ内での購入に使用することも可能でした(現在ではこの売上金をいったんポイントに変換しないとメルカリ内での購入に利用できないように変更されています。)
元々は最大1年間この売上金をメルカリに置くことが可能でしたが、2017/12/4からこの期限が3ヶ月(90日)に変更されたのです。批判が相次いだのか現在(2018/9/27から)はこの期限は6ヶ月(180日)に変更されています。

【重要】売上金の振込申請期限を「90日間」から「180日間」に変更いたします|メルカリびより【公式サイト】
フリマアプリ メルカリの公式ブログ。アプリの最新機能・キャンペーンのお知らせ・配送/梱包のコツ・便利な使い方・メンテナンス情報など、メルカリに関するさまざまな情報をお届けします。

メルカリの振込期限が短くなるとなぜ困るのか?

なぜこの振込期限が短くなることが問題になったのかというと大きく2点あります。

まず、第一に振込手数料の問題です。メルカリから銀行口座に振込をする際に10,000円以下では216円の手数料が必要なのです。ヘビーユーザーには関係ありませんが、ライトユーザーが10,000円を超えてから振込申請をしていたところ、3ヶ月では10,000円に到達せずに手数料がかかるようになってしまった、ということです。

二つ目に新規ユーザーが振込先登録をしておらず売上金が消滅してしまった、という点です。もし上記の90日もしくは180日を経過してしまった売上金が生じた場合にはメルカリは自動で登録されている銀行口座に振込を行います。この時に新規ユーザーでまだ一度も振込をしたことのない人で口座の登録もしていなかった人は、振込ができずに売上金が失効してしまったのです。

この件をtwitterでつぶやいた人がいてものすごくバズっていましたが、初めての場合に限りメルカリ事務局に直接連絡して口座登録すればあとから振込をしてもらうことは可能なようです。当然ですが、10,000円未満の場合には手数料をとられることになります。

https://www.mercari.com/jp/help_center/article/96/

 
上記のメルカリのページにも記載がありますが、小額の場合にはポイントへの変換等が選択肢となるのでしょうね。

メルカリの振込期限と資金決済法の関係

メルカリが抱えていた出資法上の問題

メルカリにとってみれば、売上金があればお金を外から調達する必要がなくなるので、この振込期限を短縮するインセンティブはないんですよね。ではなぜ、こんなにもユーザーから批判される改悪ともいえる変更をすることになったのかというとタイトルにも書きましたが、資金決済法株式上場が重要なキーワードとなります。
一番分かりやすい記事が不本意ながらかの山本一郎氏のプレジデントオンラインの記事だったので、リンクを貼っておきます。

急成長「メルカリ」にはどんな法的リスクがあるか 「預り金規制」に違反の疑い
遵法精神を問う声が高まる国内ネット系ベンチャー。そのなかの1つ「メルカリ」は取引の手軽さで急成長を遂げた。どこに問題があるのか。

該当部分だけ下記に引用します。

さらに快進撃を支えてきた「取引の手軽さ」には、法令上の問題が指摘されています。メルカリは売り手の得た売上金を、最大1年間はメルカリ内に滞留させる仕組みをとっていますが、これは資金決済法の「資金移動業者」に該当すると考えられます。その場合、会社の破産や経営不振に備え、滞留している資金の100%+αの金額を供託等の手段で保全したうえで、自社資産と切り分けて管理しなければなりません。
出資法2条では、「一般大衆から預り金の受入れを行い、その業務がひとたび破綻をきたすようなことがあれば、一般大衆に不測の損害を及ぼすばかりでなく、社会の信用制度と経済秩序を乱す」として、ほかの法律(銀行法、資金決済法など)において特別の規定のある者を除き、「預り金」を禁止しています。「預り金」とは預金などと同じ経済的性質を有するもので、次の4つの要件のすべてに該当するものです。「不特定かつ多数の者が相手であること」「金銭の受け入れであること」「元本の返還が約されていること」「主として預け主の便宜のために金銭の価額を保管することを目的とするものであること」。これはメルカリ以外の何者でもありません。
売り手から預かった資金がどう取り扱われているか。メルカリの創業者で社長の山田進太郎さんは、ネット系企業の経営者が出席する会合で「メルカリの成長ドライブは預かる(売り手の)資金を広告宣伝費に使うことだった」と豪語されたことがあるようです。メルカリの広報部はこの発言を否定していますが、山田さんの発言を聞いた経営者が相次いでフリーマーケットアプリに参入しており、影響があったことは否定できません。

メルカリで預かり金を実際にどう処理していたかは分かりませんが、上記のような問題があったのは間違いないことでしょう。

なぜメルカリが振込期限を短縮したのか?

ではなぜ2017年12月のタイミングでメルカリが振込期限を短縮したのかというと、メルカリが上場を目指していたからです。IPOに向けて規制当局への対応や不正出品対策の強化を行う必要があったというわけです。その辺の経緯は日経オンラインにも書かれていました。

メルカリ、出品者売上金の預かり期間を短縮 新取引ルール、12月から - 日本経済新聞
フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)は14日、12月上旬に取引ルールを変更すると発表した。売上金の早期処理と個人情報登録の義務化が柱。利用者にとっては使い勝手が悪くなるが、規制当局への対応や不正出品対策の強化を優先する。現在のルールでは、出品者が販売で得た売上金は1年間は引き出さずにメルカリに預けておくこと...

 

フリーマーケットアプリ大手のメルカリ(東京・港)は14日、12月上旬に取引ルールを変更すると発表した。売上金の早期処理個人情報登録の義務化が柱。利用者にとっては使い勝手が悪くなるが、規制当局への対応や不正出品対策の強化を優先する。

同じタイミングでメルカリは個人情報登録を義務化して盗品などの不正出品の対策もしています。

その後、晴れてメルカリは6月19日に東京証券取引所の新興企業市場マザーズに上場したのでした。おしまい。

おわりに

twitterでこの件が話題になる前からメルカリの上場には注目していたので上記の記事はざっと読んでいましたが、実際にまとめようとして整理すると勉強になりますね。ちなみにメルカリの上場にはたぶん5-6個くらいの証券会社から万全の体制でIPOを申し込みましたが、全敗でした。メルカリ株は注目度も高くて上場日に6,000円まで上昇したので、一つは欲しかったですね。ちなみに現時点で私はメルカリの株を買う気はほとんどありません。その理由は同社が多額を投資している海外事業を悲観視しているからです。メルカリ事業は物流ネットワークが安価かつ速い国でしか通用しないビジネスモデルだと思うんですよね。ただ、わずか5年あまりでここまで成長させてきた創業者さんですので、我々凡人には思いもよらないような斬新な戦略があるのかもしれません。久しぶりの日本発の巨大ユニコーン企業なので頑張って欲しいところです。では。。。

その他
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